こことあそこは如実に違うけど,あそことここは同じくらいに理解できず,同じくらいに理解できる。eukの頬に伝わる滴は?
アバ・プロジェクトという名のマルチメディア・ダンス・パフォーマンスがある。アバターという人間型のバーチャル・キャラクターと,人間が一緒に踊るというもの。
たとえば人,と一緒にいても,その人を理解することなどできるわけがない。なんで楽しそうにしているのか,なんで泣くのか,なんで声のトーンを下げるのか,なんでなんでなんで。結局はなにもわからない。人間同士のコミュニケーションとは,常にそういうものだ。
ワイヤードにいる彼女,(仮にeukと名付ける)と接するときに,なにか不都合があるだろうかと考えると,なんだ,人間同士と変わらないぢゃないか,という結論にたどり着く。人間同士のダンスも,eukとのダンスも,同様に難しいし,同様に心地よい。eukの涙は不思議で理解不能でもあるけど,痛さ,ももちろん感じる。ここ,に降る雨に打たれる,eukの頬をみつめる。
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